2022.11.3 – 2023.3.5 キックオフ・プロジェクト成果展「1トンになる タムラサトル」
1トンになる タムラサトル
栃木市ゆかりの現代美術家、タムラサトル氏(栃木県立栃木高等学校卒業)が栃木市民と共に制作した作品です。幅× 奥行それぞれ120cmの台秤に参加者が乗り、重さを調節しながら1トンぴったりにするというイベントを記録した映像を展示します。
1トンぴったりになるまではさまざまな工夫があり、協力があり、笑いがあります。一見、意味のない仕事をいっしょにする中で、家族や職場、チームの一体感も見えてきます。
今回は栃木市をかたちづくる栃木、大平、藤岡、都賀、西方、岩舟の6 つの地域で制作を行いました。農家や芸能の集まり、スポーツのチーム、手仕事に携わる人々など、多くの皆様のご協力をいただき、栃木市の豊かで楽しい暮らしの一面を作品に残すことができました。
美術の歴史には「集団肖像画」というジャンルがあります。17世紀オランダのレンブラントが描いた《夜警》には、誇り高いアムステルダムの市民たちの姿が今も残り、世界中の人々から賞賛されています。「1トンになる」は栃木の市民の姿を未来に伝える、21世紀の集団肖像画であるとも言えましょう。栃木市立美術館
https://www.tamurasatoru.com/works-category/weightsculpture/

《1トンになる》では、120cm×120cmのハカリに人や物を乗せて計測し、「1トン」になる過程を記録しました。どこに住んでいるかとか、なにをしているかとか、国籍・性別・年齢も関係なく、1トンに相当する人とその付属品(衣類や道具など)を提示します。日々の生活のなかに大きなハカリを設置し「1トン」を計測することで、日常に非日常をすべりこませるような撮影現場になりました。通常の生活では「1トン」はありえない重さですが、デジタル表示が1000.0kgを示した瞬間、妙な達成感があり、現実味のない「1トン」が一気に親近に感じられました。
すべての人や物には重量があります。何かの機会に計測されることもあるでしょう。それが今回の《1トンになる》であり、参加者は「1トン」の一部となりました。これを機に《1トンになる》は、何らかの形で継続していくでしょう。次回、どこでだれが《1トンになる》のかは、私はそれほど関心はありません。その重さが正確な「1トン」であることにのみ、最大限の注意を払うのです。
作品名は、撮影日・場所あるいは団体・重さで、構成されています。そのタイトルは説明的かもしれませんが、内容を端的に言い表し、作品の即物的な一面を強調させているとも言えます。今回は、栃木市内の6ヶ所で制作を行いました。タイトル通りの6つの「1トン」ができたと思っています。