WORKS

その夜、彼は缶を打つ

That night, he hits cans
2002 / 3min 6sec

camera / Tamura Satoru
performer / Yamashita Fumito
edit / Eguchi Tackt
special thanks / Yokoyama Junko , Kikuchi Makoto

自動販売機から缶飲料を買って飲むという予め用意されている設定に、疑問を抱いています。僕は、あらゆる意味・記号・設定・目的に疑問を抱いてしまっているのです。
自動販売機の本来の目的のため(飲むため)にやってくる人々と比較すると、缶飲料をゴルフのドライバーで破壊する行為はあまりにも特殊であり、なにかしらの意味が張り付きそうです。しかし、自動販売機から缶飲料を買って飲む事と自動販売機から缶飲料を買って打つ事の比較には、全く興味はないのです。
これは比較ではなく、あるひとつの提示なのです。

「自動販売機から買った缶飲料は、飲むためのものなのか。
 いや、ゴルフのドライバーで粉砕してもいいはずだ。」

雨上がりの夏の夜に、その強引な提示は実行され、自動販売機に飲み物を買いに来る人や通行人に交じって、彼は自動販売機から缶飲料を買いゴルフのドライバーで打つのです。
おそらく、この提示に対する答え(この作品を読み解くこと)はないでしょう。なぜなら、この提示自体が、答えるために用意されているあらゆる意味・記号・設定・目的に疑いを持つところからはじまっているからです。

タムラサトル個展 ALL VIDEO WORKS
晶アート(東京)
2002.11.2 – 11.23

CATEGORIES

Video