1トンになる
本プロジェクトは、2003年より制作している、重さを可視化する彫刻作品からはじまりました。本来、彫刻とはその形状や質感を観るものですが、重さというフィルターを通して制作してみようと考えたのです。彫刻そのものに、軽量化の穴をあけたり分銅をのせたりして重量を操作、デジタルはかりで計測した状態で展示をして、その重さを表示しました。モチーフとデジタルはかりの組み合わせで構成された、即物的な作品です。2004年、作家本人が100.0kgになる映像作品《100kg Man》を制作しました。それまで彫刻という形態にとらわれていましたが、重量を調整する過程を映像で表現できることに気づきました。それらを経て1トン(1,000kg)という重さにたどりついたのです。
https://www.tamurasatoru.com/works-category/weightsculpture/
《1トンになる》では、120cm×120cmのハカリに人や物を乗せて計測し、「1トン」になる過程を記録しました。どこに住んでいるかとか、なにをしているかとか、国籍・性別・年齢も関係なく、1トンに相当する人とその付属品(衣類や道具など)を提示します。日々の生活のなかに大きなハカリを設置し「1トン」を計測することで、日常に非日常をすべりこませるような撮影現場になりました。通常の生活では「1トン」はありえない重さですが、デジタル表示が1000.0kgを示した瞬間、妙な達成感があり、現実味のない「1トン」が一気に親近に感じられました。
https://www.tamurasatoru.com/works-category/weightsculpture/
概要
Weight Sculptures シリーズは、モチーフとデジタルはかりの単純な組み合わせです。そのモチーフをデジタルはかりで計測している状態を展示します。2000gの牛の彫刻のタイトルは、『2kg Cow』となります。そ...
《1トンになる》では、120cm×120cmのハカリに人や物を乗せて計測し、「1トン」になる過程を記録しました。どこに住んでいるかとか、なにをしているかとか、国籍・性別・年齢も関係なく、1トンに相当する人とその付属品(衣類や道具など)を提示します。日々の生活のなかに大きなハカリを設置し「1トン」を計測することで、日常に非日常をすべりこませるような撮影現場になりました。通常の生活では「1トン」はありえない重さですが、デジタル表示が1000.0kgを示した瞬間、妙な達成感があり、現実味のない「1トン」が一気に親近に感じられました。
すべての人や物には重量があります。何かの機会に計測されることもあるでしょう。それが今回の《1トンになる》であり、参加者は「1トン」の一部となりました。これを機に《1トンになる》は、何らかの形で継続していくでしょう。次回、どこでだれが《1トンになる》のかは、私はそれほど関心はありません。その重さが正確な「1トン」であることにのみ、最大限の注意を払うのです。
作品名は、撮影日・場所あるいは団体・重さで、構成されています。そのタイトルは説明的かもしれませんが、内容を端的に言い表し、作品の即物的な一面を強調させているとも言えます。今回は、栃木市内の6ヶ所で制作を行いました。タイトル通りの6つの「1トン」ができたと思っています。
CATEGORIES