「イッツアサニーディ ― ショートワークス」は、韓国作家一名を含む若手のアーティストの短い映像作品集です。
晴れの日―それはすべての生き物にとっての祝祭的な日であり、ごくごく身近 な日常風景です。われわれ人間にとっても、もっとも単純に日々の喜びを感じ る事が出来る明るい晴れの日。しかし、こんにちの我々の日常の変容、テクノロジーや医療など科学技術の進歩の明るい側面とは裏腹に都市に生きる人々の 人間としての日常は変化を余儀なくされています。それはグローバリゼーションの陰の中で世界各地で起きている不穏な争いや事件、飢餓や不幸でしょう か、それとも環境問題や資源の枯渇などもう後戻りできなくなっている人類のどこか終末のにおいの影響でしょうか。「イッツアサニーデイ ― ショート ワークス」は、アジアの片隅の若い芸術家たちが切り取ってみせた日常を、 ユーモアを交えて編み込んだプログラムです。
複雑怪奇な現実の中、それでも日々は続いてゆきます。アン・ジュンギュは日常の音をとりさり、奇妙な擬音に変えて見せます。松本力のローテクは現代の 技術への抵抗とも見えます。西野正将の平凡ながら不思議な一瞬の切り取りや、ユーモアを含んだ日常へのまなざしは、どこか懐かしい「晴れの日」の日向のにおいです。タムラサトルの爽快な破壊、山下麻衣と小林直人の膨大な苦役ともとれる儀式的繰り返しは、日常になにかをインストールした結果でしょうか。鈴木光の記憶のぼやけた境界と、そこに見え隠れする暴力は短いながらなにかへの恐怖を想起させます。
MIACA