1999年以前は、動物と動きの組み合せ[例:スピンクロコダイル/1994年制作/千年の扉(栃木県立美術館)他出展]のみがそれらを奪う唯一の手段であり、その方法に固執していました。ところが、今年3月のGALLERY IN THE BLUEの個展でも発表した[プラスチックモデルは粉々にくだける/2000年制作/ムービーフェスタ vol.1(studio BIG ART)他出展]を契機に、動物と動きの組み合せ以外でもモチーフ・素材が持つであろう意味・背景を奪うことができることに気付きました。具体的にそれは、迷いのないスイングであり瞬間に粉々に飛び散るパーツなのです。これらは、破壊という行為やそのプラモデルに張り付くもの(意味・背景)を痛快に剥ぎ取っているように思えたのです。
初めて使用するメディア・素材によって、その作品の明解な方法論は見い出されたわけです。それ以来、意識的に作品のシリーズ化は避け、今まで使った事のないメディア・素材・モチーフを試すようにしています。また立ち戻るということはありえますが、これは戦略というよりは、作家・作品の性質によるものでしょう。常に、なにものも入り込む余地のないものそこに立ち尽くすようなものを求めて、彷徨うのです。
今後のタムラの新作の迷走ぶりに御期待ください。